京都 5日目
2012.07.31 Tuesday | category:旅
朝から乾いた風が吹いていて、おもいのほか涼しい。
姉とY氏、ふたりの子どもたちは朝食後に川遊び、私はきょうはひとりで町の方へ出てみることに。
高野川で遊ぶ姉と甥っこK。
叡山電車に乗って下鴨神社へ。
世界遺産の糺の森の木漏れ日は硝子のように繊細で、まるで川の底を歩いているような錯覚に。
風に揺れる影の上を歩いていると、なんだか次第に眠たくなってくる。
いつか自分の庭を持てたら、木漏れ日が美しい木を選んで植えようと思う。
すらりと細く、高く伸びる木がいい。
木漏れ日の中をしばらく歩いて行くと、大きな鳥居。
鳥居の向こうには本殿。
糺の森の小川。
おひるごはんには、出町柳駅近くの「ファラフェルガーデン」へ。
ファラフェルのピタサンドにアイスコーヒー。
ファラフェルはひよこ豆をつぶして揚げたイスラエル料理。
お店には中庭に面した半外の席や2階席もあり、広々としたいい雰囲気。
お昼時にもかかわらず、ゆるゆるとした時間が流れている。
料理に使用されているハーブは自家栽培、スパイスははるばるイスラエルから取り寄せているとのこと、メニューも豊富でしかもテイクアウトもできるので、何度でも足を運びたいと思う。
やさしい味のファラフェル。
おなかもすっかり満たされたので、途中、京菓子資料館を覗き、相国寺や晴明神社にも寄り道しながらのんびり歩いていく。
目指したのは和菓子屋さん。
「塩芳軒」はあまりにも有名な京都の老舗の和菓子屋さんで、干菓子や日持ちのするお菓子は百貨店でも見かけるけれど、生菓子が買えるのは丸太町のこのお店のみ。
遠い時間を感じる重たげな暖簾をくぐってお店の中に入ると、夏らしい季節感のある和菓子が並んでいる。
葛や寒天を使用した錦玉羹や水羊羹。
羽二重の青楓は残念ながら売り切れ。
夜の大人のおやつ時間のために、普段はお店に出していないという葛焼と、葛まんじゅうをふたつずつ包んでもらう。
お菓子を包んでもらうあいだの時間、お店の中をゆっくり見まわして、漂う空気感を記憶する。
どうやら今日は京都市内は37℃まで気温があがったらしく、道を歩くにも無意識的に少しでも日陰のある場所を探してしまう。
炎天下を歩いて地下鉄に乗り、「せせらぎ すへら」で休憩をすることに。
ここは空間もスタイリッシュだし、カフェスペースでは「嘯月」のきんとんを扱っている。
「朝の露」という名のきんとん。
じいっと見入るほどうつくしい。
きんとんは、「中川ワニ珈琲」のコーヒーとともに。
和菓子とコーヒーは意外と合うと思う。
暑い中をずいぶんと歩いたので、ゆったり涼しい空間で長いあいだ休憩する。
祇園あたりを歩きつつ、四条の鍵善良房でおみやげに干菓子の菊寿糖をいくつか。
菊寿糖は以前何度かネットで注文したこともあり、お気に入りの干菓子のひとつ。
菊を模った干菓子は見た目にもかわいらしい。
お店の奥には喫茶もあるのだけれど、今回は干菓子を買うのみに。
八坂神社が近いので、神社と神社に隣接する円山公園を散歩してみる。
公園内は広々としていて、夕方だったので人もまばら。
緑の映る美しい池。
日も暮れかかってきたので、気になっていた出町柳のカフェyugue(ユーゲ)で夜ごはん。
定休日も閉店時間もあいまいなので、とりあえずは電話でお店に問い合わせてみることに。
電波の具合ではなさそうだけれど、通じた電話では状況がいまいちわからない。
とりあえず、たぶんあいているだろうという印象だったことだけはわかったので、これから伺いますとだけ伝えて電話を切る。
出町柳駅から夕焼けの川面を眺めながら橋を渡り、下鴨神社の西側を歩いていく。
風は重たげだけれど、昼間に比べたらいくらかは涼しい。
お店は名前などを表示したものもなく、適当な雰囲気の布が暖簾的に入口の内側にかけられていて、ほんとうにここがそこなのか、そして、ここがそこでも、これが入口でいいのか不明だけれども、ほんの少しだけ開けられた引き戸から入ってみることに。
お店に入るとJAZZ風なピアノ曲がかかっていて、不思議空間だとすぐに感じる。
こじんまりとした店内にはいい感じに古びた小さなテーブルがいくつか。
ゆるい雰囲気のお客さんがひとり、入口に一番近い席で四角い缶詰的な何かをつまみながらビールを飲み、眺めるでもなく壁のむこうの遠くをみている。
適当な席に座り、簡単に手書きされたメニューの中から水餃子と焼き茄子を選んで作ってもらうことに。
ビールを飲みたい気持ちになるけれど、今日は少し疲れすぎた感があるので我慢することに。
メニューのベーグルサンドは種類もたくさんあり、塩豚とチーズ、焼き野菜など、かなり気持ちをそそられるのだけれど、これは昼のごはんのタイミングで訪れたときのためにとっておこう、と思う。
オリーブオイルのかかった焼き茄子。
驚愕の水餃子。
もちっとした皮の中に、独特な味わいのひき肉。
ピンクペッパーにきゅうりとミントが添えられて、見た目にも独創的。
そして素晴らしく美味しかった。
スープもすっかり飲んでしまう。
お客さんは私を含めて全員ひとり組。
こんな不思議カフェが家のそばにあったら、毎週末出かけて行って、ゆるゆる時間を過ごしたいと思う。
意表をつくおいしさの料理に、不思議な時間の流れる空間。
京都 4日目
2012.07.30 Monday | category:旅
午前中をY氏とMさんのピアノの連弾を聞いたり、子どもたちと遊んだりしてのんびり過ごす。
午後には、東京に戻られるSさんをみんなでお見送りに京都駅へ。
京都駅は本当に大きくて、デパートやらお土産屋さんやら、飲食店が充実している。
お見送りのあと、京都駅内をぶらりと歩いて、JR伊勢丹の地下などでお漬物や和菓子などを見てまわる。
父から京都の漬物を、と頼まれたY氏が「ほとんどの漬物にアミノ酸が入っている!」と言うので、パッケージの裏側の表示見ると、確かに、いろいろ不気味な単語が並んでいる。
そして、おそらく唯一、食品添加物の入っていない「茎屋」の漬物を発見し、これでお土産のお漬物の件はひと安心。
少し早いお夕食を京懐石の「松山閣」で。
左から
たまご豆腐 大徳寺麩 湯葉 カボチャを模った生麩
見た目にもとてもかわいらしい。
あまり食べる機会はないのだけれど、生麩のもちっとした食感は大人も子どもも大好き。
汲みあげ湯葉
とろりと感激な食感に、豆の香りがふうわり広がる。
湯葉桶
豆乳はそのままでも、湯葉用のつゆで割っていただいても。
一人ずつの小さな手桶がまた素敵。
揚げもの
大徳寺麩は揚げてもおもしろい食感。関東ではあまり見る機会がないかもしれない。
湯葉と押し麦の入ったとろろのごはん
おみおつけにお漬物
食後にはすいかのデザートも。
大人でも「わあ。いいな、おいしそう!」とつい口に出してしまうほど美味しそうな子ども用のごはん。
実際に焼鮭やら玉子焼が少しずつ大人の口に…
京都 3日目
2012.07.29 Sunday | category:旅
きょうも午前中を川で過ごし、午後には出町に豆餅を買いに出かける。
出町柳駅から高野川と賀茂川を渡った先の「出町ふたば」へ。
お店の前はずいぶん行列していて、それでも何を選ぶか考えているあいだに順番が回ってくるので、大勢人が並んでいても待っている感覚はほとんどない。
見るからに柔らかそうな豆餅。
塩気のきいた豆の存在感。餡より、餅より、豆が主役の餅だと思う。
餡なしの豆餅も作ってもらえるので、餡が苦手だったり、砂糖を気にする人も食べられるのはありがたい。
豆餅の他にもいろいろと選んでみる。
あんころもち・葛まんじゅう・よもぎだんご・田舎大福などなど。
それぞれどれも美味しかったけれど、やっぱり豆餅が最高だった。
滞在中に、もう一度訪れるチャンスがあればいいなと思う。
夜には、Y夫妻が「紫野和久傳」に連れて行ってくださる。
大徳寺近くの「紫野和久傳」は典座料理を提供するお店とのこと。
以前に勤めていた図書館で典座料理の本を数冊借りて読んだことがあったので期待が高まる。
それに、カウンター席のみの大人空間で日本料理をいただくのは初めてかもしれない。
板さんとの会話をたのしむ、そんなことも学ばせてもらったと思う。
このような席で写真をとることにもちろん遠慮はあったけれども、快く応えてくださる。
上質な空間。
すばらしくうつくしいお料理の数々。
ダツ(白ずいき)の前菜
大徳寺納豆 赤キャベツ 梅ゼリーがけ
揚げ出し豆腐に青紫蘇
くみ上げ湯葉
こんにゃく
備長炭を使って、目の前で焼かれた万願寺
白うりにラディッシュ 生姜味噌
揚げもの
とうもろこし ごぼう さつまいもなど
目にも涼しげな稲庭うどん
おくら 加茂茄子 さといもの田楽
香の物に雲井窯の土鍋で炊いたごはん。
桃
桃の皮がすんなりうつくしくむかれて、種が除かれているので、どのようにしたらきれいにむくことができるのかをそれとなく聞いてみる。
もなかとお抹茶
(もなかは写真を撮る前にうっかり食べてしまった!)
夢のようにすてきな時間だった。
夜。
大徳寺なますを食べる夢をみる。なますは出なかったのだけれど。
京都 2日目
2012.07.28 Saturday | category:旅
滞在させていただいているお宅の敷地のすぐ横には高野川が流れていて、水はとても冷たく透明度も高い。
八瀬比叡山口駅あたりでは浅瀬もあり、子どもを遊ばせるのにはちょうどよく、今日の午前中は子どもたちと一緒に川に入ることに。
甥っこのKと姪っこのSも初めは恐がったものの、水の冷たさや流れにはすぐに慣れて、楽しそうな声をあげている。
アスファルトの道は猛烈な熱気が立ち上ってくらくらするけれど、昼ひなかの気温の上がる時間でも川のそばは涼しい。
子どもたちと一緒に川に入ってしまえば、暑さすらまったく忘れてしまうように山から流れてくる水は冷たい。
川底の石は、色合いや質感、模様もさまざまでうつくしくて、水の中から拾い上げて眺めてはまた川の底に戻す。
それだけのことを甥っこKと一緒にずいぶん長い時間楽しんだ。
夕方、狸谷山不動院の火渡り祭があるというので、お世話になっているY夫妻と一緒に子どもたちも連れて出かけて行く。
なんとこの火渡りは一般人も参加することができるのだとか。
けれども、料理をしていてほんの少し油がはねるだけでも飛び上がるくらい熱いのに、修行もしたことのない普通の人間が本当に火の上を歩くことに耐えられるのだろうか、と思う。
それでも火渡りには興味もあるし、できれば火の上を歩きたい、そして何より舞台でしか見たことのない山伏の姿をぜひ見てみたい、と強く思う。
狸谷山不動院は叡山電車の一乗寺駅から徒歩で20分程度とのこと。
その情報を信じて、駅からは徒歩で向かうことに。
道すがら、少し早目の夕食を湯豆腐のお店でいただく。
一乗寺駅から東へのびる道をひたすらまっすぐ。商店を抜けて、車通りもほぼないようなところまで来ると次第に勾配がきつくなってきて、なかなか思うように先へ進めない。
目安の時間が過ぎても、目的の場所にたどり着かないので、駅から20分という案内はもしかしたら不動産距離なのかもしれない、とも思う。
日もすっかり落ちて、まわりも薄暗くなって来た頃にようやくそれらしき場所が見えた。
薄暗い中、狸や七福神の像などを横目に、連なる鳥居をくぐって歩いた先には、灯篭の並ぶ参道。
灯篭の幻想的なあかり。
本堂までの、終わりなく続くようにも思える階段をまた休み休み上がって行く。
ここまでたどり着くまでが既に修行のような坂道と階段だったので、到着したころには火渡り祭が始まる19時をだいぶ過ぎてしまっていた。
階段を最後まで上がると、ちょうど山伏が山に向かって矢を射っているところで、結界が張られた空間の真ん中には火渡りのための護摩壇。
すでに日が落ちた暗がりでは護摩壇はまるで苔むした岩のようにも見えた。
山伏が祈りのことばを唱えて、護摩壇に火を入れるとみるみる巨大な炎になって、夜の暗がりは突然に明るくなった。
本堂の中からはお経を唱える声が聞こえていて、高みから力強く燃える炎と空高く舞い上がる火の粉をただただ呆然と眺める。
燃えた護摩壇を平らにして、いよいよ火渡りの道を作る。道の両脇にはまだまだ勢いのある炎。
結局、子どもたちを含めた全員(7人)で火渡りに参加することに。
御札を購入し、本堂で火渡り前のお祓いを受けたら、長々と続く列の最後尾を探して並び、列の進むのを待つばかり。
火を渡るために靴を脱いではだしになり、地面に敷かれている塩をしっかりと足の裏に付け、山伏の人が、背中に触れて何か唱えてくれたあとに、いよいよ灰の上を歩いていく。
歩く道の両側には火がまだ燃えているので、その煙が目にしみて目の前がはっきりと見えない。
そんなことを思っていたらあっという間に渡り切ってしまった。
火渡りのお祭りに参加できたこと、本当に貴重な体験だった。
京都 1日目
2012.07.27 Friday | category:旅
始発電車に乗って、羽田空港へ。
今日から京都の比叡山のふもとのお宅に滞在させていただくことに。
空港や港は特別に心惹かれる場所で、飛行機や行き交う船はいつまででも眺めていたいと思う。
京都へは新幹線は利用せずに、羽田から飛行機で伊丹まで行き、そこからはほぼ貸切のリムジンバスで悠々京都駅まで。混雑がなければ伊丹空港から京都駅まで1時間弱で到着できる。
京都の夏は初めてで、想像以上の暑さ。ただ立っているだけでも汗が流れる。
ひと夏のうち汗をかくのは数えるほどなのに、初日だけでもひと夏分の汗をかいた気がする。喉が渇く感覚も久しぶりにあじわう。
お昼前には先に到着して滞在を楽しんでいる姉家族と合流する。
滞在させていただくお家は目の前に山の緑が迫って、町の中に比べたらずいぶんと涼しい風を感じることができる。すぐそばを高野川が流れていて、空気がとても清らか。
お昼ごはんには叡山ケーブルの八瀬駅そばの八瀬京もみじで京料理をいただく。
あおい暖簾がゆうらり揺れるだけで、涼しさを感じる。
こじんまりとした居心地の良い空間でいただく季節のお料理は、どれもすばらしく美味しかった。
ゆるりとした食事の時間をたのしんだあと、叡山電車に乗って鞍馬山へ向かうことに。
終点の鞍馬駅で下車して、駅のすぐそばの餅屋さんで蓬餅をひとつ。
餡が入っていないまあるいお餅はもちろんまったく甘くない。お餅に入った蓬がふうわりと香って感激していただく。
そういえば、前回京都に滞在したときには、練りきりやきんとんの類ばかり食べていたので、京都の餅を食べるのはこれが初めてかもしれない。
鞍馬山の山の途中まではケーブルカーに頼る。
窓から立派な山椒の木がいくつも見えた。
それにしてもこの勾配、画像はケーブルカーを降りた上からのものだけれど、下から見上げても同じような恐怖感。
ケーブルカーを降りた後は坂道を歩き、階段をひたすら登る。
そもそも暑さには強くはないので、途中で体力を完全に消耗して、本殿にすらたどり着けるのか微妙な感じになってきた。
休憩処で子どもの頃に食べた懐かしくうす甘い氷アイスを食べて、なんとか元気に。
一緒に歩いている姉は、この暑さすら心地いいといった雰囲気で、正気なのかと思う。
本殿の前に立つ。
杉の伸びる斜面を眺めながら山を下り、貴船方面へ。
人の姿もあまりなく、山に住む鳥や、セミの声が響いている。
山を降りると、川床の料亭が並ぶ道に出る。
水の神さまをお祀りした貴船神社の桂の木。
広がる枝がうつくしい。
充実の京都初日。
葉山花火大会
2012.07.26 Thursday | category:イベント
一色海岸
2012.07.26 Thursday | category:海
鎌倉花火大会
2012.07.25 Wednesday | category:イベント